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【税理士が解説】相続税の基礎控除とは?計算式・注意点・申告判断の基準を解説

2025/8/8

相続税申告

相続税の申告が必要かどうかを判断する上で、最も重要なポイントのひとつが「基礎控除」です。本記事では、税理士の立場から、基礎控除の概要・計算方法・よくある誤解・注意すべき特例などをわかりやすく解説します。


基礎控除とは?相続税がかかるかどうかの「境界線」

相続税の課税対象となるかどうかを判断する際、まず最初に確認すべきなのが「基礎控除額」です。遺産総額がこの金額以下であれば、基本的には相続税の申告も納税も不要です。

◆ 現行の基礎控除の計算式

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

この計算式は平成27年(2015年)以降に適用されているもので、それ以前の「5,000万円+1,000万円×法定相続人」から大きく引き下げられています。


【早見表】法定相続人の数別・基礎控除額一覧

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円

この基礎控除を超える場合には、相続税申告が必要になる可能性があります。


法定相続人の数え方に注意

意外と見落とされがちなのが、法定相続人の正確な人数の把握です。以下のポイントに注意が必要です。

● 相続放棄した人も「数」に含める

相続放棄していても、もともと相続人に該当していた人は人数に含めます。

● 養子の扱いに上限あり

養子がいる場合は、実子の有無によって含められる人数に制限があります。

  • 実子あり:養子1人まで

  • 実子なし:養子2人まで


相続税が減額される規定とは?

基礎控除額以下であれば、原則として申告も不要ですが、以下のような場合も無税となる可能性があります。

● 配偶者の税額軽減

配偶者は「1億6,000万円」または「法定相続分」までの財産を取得した場合には相続税がかかりません。

● 小規模宅地等の特例

居住用・事業用の土地については最大80%まで評価減されることがあり、相続税が発生しないケースも多くあります。

● その他の控除

未成年者控除、障害者控除、相次相続控除など、個別に適用される制度もあります。


よくあるご質問(Q&A)

Q. 基礎控除を超えたら必ず相続税がかかりますか?

A. いいえ、控除を超えていても、各種特例や控除の適用により納税額が0円になることもあります。

Q. 相続税の申告が不要な場合、申告書の提出はしなくて良い?

A. 基礎控除以下であれば提出義務はありません。ただし、配偶者控除や小規模宅地の特例を使うには申告が必要です。


税理士・福間より

相続税は、「課税されるかどうか」だけでなく、「どうすれば節税できるか」も大きなテーマです。基礎控除を含めた全体の構成を見たうえで、正確な申告と節税のバランスをとることが重要です。ご家族の財産構成や相続人の状況によって、最適なアドバイスも変わります。

当事務所では、初回相談無料で相続税診断も行っておりますので、お気軽にご相談ください。