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相続税の障碍者控除について

2024/9/20

相続税申告

相続財産を相続した相続人が障碍者に該当し下記の要件に該当する場合、
障碍者控除という制度により相続税が一定金額減額される制度があります。

 

(障碍者控除の要件)
①相続や遺贈により財産を取得したときの住所が日本国内にあること
②被相続人の法定相続人である事
③障碍者に該当する事

 

(控除額)
相続開始時から満85才に達するまでの年数に10万円(特別障碍者の場合は20万円)を乗じて計算した金額

50才の一般障害者の人であれば、(85-50)×10万の350万です。

350万を支払う相続税額から引けるという意味です、結構大きいですよね。

この制度の趣旨は、障碍者は生活費が通常の人にくらべ余計に要する事を考慮し、
その生活費は相続財産から賄うことが妥当だと考えられることからのものとなっています。

対象となる一般障害者や特別障碍者は、障害の程度により要件がありますので注意が必要です。基本的には障碍者手帳をもっていて、その等級によります。

 

(具体例)
被相続人:母(父は既に亡くなっていた)
相続人:A(長男で障碍者) Aが払う相続税500万
B(次男) Bが払う相続税300万

相続開始時に50才の特別障碍者である相続人A
障害者控除額 20万円×(85才-50才)=700万円

 

障害者の方の支払う相続税が、障碍者控除額より少なかった場合その方の支払う相続税は0となります。

例:500万円(Aの支払う相続税)ー700万円(障碍者控除額)=△200万円→0(相続税)

引ききれなかった控除額200万円はAの扶養義務者から控除出来ます。
※扶養義務者とは直系血族および兄弟姉妹、配偶者のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。

例:300万円(Bの支払う相続税)-200万円(上記のあまり)=100万円(相続税)

本人の払う相続税から引けて、余った分は他の相続人から引けるという意味です。

かなり得した気分になりますね。障害者控除で全員0になる事も少なくありません。

 

税理士・福間より

実際に扶養しているかは関係ありません。将来的に親族の障碍者の生活が困難となった場合に、
親族がサポートする事が考えられるためその負担に考慮した結果だと思われます。

障害者控除は控除額も大きく、この制度で相続税額が0となる場合も少なくありません。
相続人に障碍者手帳をお持ちの方がいないか、見落としがないようにしましょう。