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家なき子特例とは?福岡で別居の子が実家を相続する場合の要件

2026/7/6

 

福岡の都心でマンション暮らしをしていた子が、郊外にある親の実家を相続する——こうしたケースでよく問題になるのが「家なき子特例」です。親と同居していなくても、一定の要件を満たせば実家の土地の評価額を最大80%減らせる制度ですが、2018年(平成30年)の改正で要件が大きく厳しくなりました。

 

本記事では、家なき子特例の要件と、改正で使えなくなった典型パターン、福岡の家族でありがちなケースを、相続専門の税理士がわかりやすく解説します。

 

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家なき子特例とは(概要)

「家なき子特例」とは、亡くなった方(被相続人)と同居していなかった別居の親族でも、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例を使える制度の通称です。正式な制度名ではなく、特定居住用宅地等の要件の一部を指す呼び方として広く使われています。

 

小規模宅地等の特例は、自宅の敷地(特定居住用宅地等)について、330㎡までの部分の評価額を80%減額できる制度です。本来は被相続人の配偶者や同居していた親族が自宅を引き継ぐことを想定していますが、配偶者も同居親族もいない場合に限り、持ち家を持たない別居の子などにも特例の道を開いたのが家なき子特例です。空き家になった実家を、賃貸暮らしの子が引き継いで住むことを後押しする趣旨で設けられました。

 

減額の効果は非常に大きく、たとえば評価額5,000万円・面積200㎡の土地であれば、80%にあたる4,000万円が減額され、評価額は1,000万円まで下がります。福岡市内の地価が上昇している昨今、実家の土地評価が想像以上に高くなっているご家庭も多く、この特例を使えるかどうかで相続税額が大きく変わります。

自宅敷地の80%減額の基本的な仕組みについては、別記事でも詳しく解説しています。

 

 

家なき子特例の適用要件(2018年改正後)

家なき子特例を使うには、次の要件をすべて満たす必要があります。2018年4月1日以後に発生した相続から、以下の厳しい要件が適用されています。

 

  1. 被相続人に配偶者がいないこと(すでに亡くなっている・離婚している・未婚の場合を含む)
  2. 被相続人と同居していた法定相続人がいないこと
  3. その土地を取得する人が、相続開始前3年以内に、自己・自己の配偶者・3親等内の親族・特別の関係がある法人が所有する家屋に住んだことがないこと(=持ち家に住んでいないこと)
  4. その土地を取得する人が、相続開始時に住んでいる家屋を、過去に一度も所有したことがないこと
  5. 相続した宅地を、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)まで所有し続けていること

 

このうち、3の「3親等内の親族・特別の関係がある法人」と、4の要件は2018年の改正で追加されたものです。改正前は「相続開始前3年以内に自分または配偶者の持ち家に住んでいないこと」だけが問われていましたが、改正後は親や子(3親等内の親族)の持ち家、自分が経営する会社(特別関係法人)の持ち家に住んでいる場合も、家なき子と認められなくなりました。

 

なお、配偶者や同居の法定相続人がいる場合は、その方が小規模宅地等の特例を優先して使えるため、別居の子は家なき子特例の対象になりません。また、土地を取得する人について国籍や国内居住に関する要件もあり、判断が難しいケースもあります。ご自身が当てはまるか不安な場合は、相続税の申告前に税理士へご確認ください。

 

 

2018年改正で使えなくなった典型パターン

改正前は、本来の趣旨から外れた「持ち家はずし」によって家なき子特例を使う節税スキームが見られました。改正は、こうした形式的な要件回避を封じることが目的でした。代表的な、現在は使えなくなったパターンは次のとおりです。

 

  • 持ち家を孫(3親等内の親族)に贈与・名義変更し、自分は「家なき子」になったように見せる方法。改正後は、3親等内の親族が所有する家に住んでいる時点で要件を満たしません。
  • 持ち家を自分が経営する会社(同族会社)に売却し、そのまま住み続ける方法。特別の関係がある法人の持ち家に住んでいることになり、対象外です。
  • かつて自分の持ち家に住んでいた人でも、その家を売却し、相続開始時には別の賃貸住宅などに住んでいる場合は、それだけで直ちに対象外になるわけではありません。ただし、相続開始時に住んでいる家屋を過去に所有していた場合や、相続開始前3年以内に自己・配偶者・3親等内の親族・特別の関係がある法人が所有する家屋に住んでいた場合は、要件を満たさない可能性があります。

 

税務署は形式だけでなく取引の実態を重視します。形式的に要件を満たしていても、相続税の軽減だけを目的とした不自然な名義変更や売買と判断されれば、税務調査で特例が否認されるおそれがあります。判断に迷うケースほど、事前に専門家へ相談しておくことが安全です。

 

 

福岡の家族でありがちなケース

福岡市内は転勤や進学・就職を機に天神・博多周辺の賃貸マンションへ移り住む方が多く、子は福岡都心の賃貸暮らし、親は糸島・春日・筑紫野・宗像などの郊外の戸建てに一人暮らしという家族構成が珍しくありません。夫に先立たれた母が一人暮らしをしており、賃貸暮らしの子が実家を相続する——これは家なき子特例が想定する典型例です。

適用できる可能性が高いのは、たとえば次のようなケースです。

 

  • 福岡市中央区の賃貸マンションに10年以上住んでいる子が、配偶者も持ち家を持たず、宗像市の実家(父が一人暮らし)を相続した。
  • 転勤で県外の社宅・賃貸に住んでいた子が、福岡へ戻る前提で、春日市の実家を相続した(社宅が会社所有でも、自分や親族の持ち家でなければ要件に抵触しないことが多い。ただし会社が「特別の関係がある法人」に当たらないかは要確認)。

 

一方で、注意が必要なケースもあります。

 

  • 子自身は持ち家がなくても、配偶者名義のマンションに住んでいる場合は、家なき子と認められません。共働き世帯で配偶者がローンを組んでいるケースは見落としがちです。
  • 福岡市内に分譲マンションを購入したことがあっても、その後売却して別の賃貸住宅へ移っている場合は、その事実だけで直ちに対象外になるわけではありません。ただし、相続開始時に住んでいる家屋を過去に所有していた場合や、相続開始前3年以内に自己・配偶者・3親等内の親族・特別の関係がある法人が所有する家屋に住んでいた場合は、家なき子特例の要件を満たさない可能性があります。

 

福岡の地価上昇により、実家の評価額が基礎控除を超えて相続税がかかるご家庭も増えています。相続税の全体像については、福岡の相続税ガイドもあわせてご覧ください。

 

 

家なき子特例に必要な書類

家なき子特例を使うには、たとえ計算の結果として相続税が0円になる場合でも、相続税の申告が必要です。申告書に特例を適用する旨を記載し、要件を満たすことを証明する書類を添付します。通常の小規模宅地等の特例の書類に加えて、家なき子特例では主に次の書類が必要です。

 

  • 戸籍の附票の写し(相続開始日以後に作成されたもの)……過去3年間の住所の履歴を確認するためのもの。
  • 相続開始前3年以内に住んでいた家屋が、自己・配偶者・3親等内の親族・特別の関係がある法人の所有でないことを証明する書類(賃貸借契約書など)。
  • 相続開始時に住んでいる家屋を、過去に所有したことがないことを証明する書類(賃貸借契約書、登記簿謄本など)。

 

このほか、小規模宅地等の特例に共通して、課税価格の計算明細書、遺産分割協議書の写しと相続人全員の印鑑証明書、被相続人の戸籍謄本(または法定相続情報一覧図の写し)などが必要になります。要件の確認も書類の収集もやや煩雑なため、早めに準備を進めることをおすすめします。

 

なお、生前に実家の名義を子へ移しておく方法を検討している場合は、生前贈与をすると小規模宅地等の特例が使えなくなる点に注意が必要です。詳しくは「実家を同居している子に生前贈与する場合の注意点」の記事もご参照ください。

 

 

福岡で別居の実家相続を検討するなら

家なき子特例は、別居していた子でも実家の土地を80%減額できる非常に有利な制度ですが、2018年の改正で要件が厳しくなり、ご家族の状況によって適用の可否が大きく分かれます。「持ち家がないつもりだったが配偶者名義の家があった」「過去にマンションを買っていた」など、思わぬところでつまずくケースも少なくありません。

 

ふくおか相続税相談室「ほっと!」では、代表税理士が福岡のご家庭の相続を直接お手伝いしています。家なき子特例が使えるかどうかの判断から、必要書類の準備、申告までワンストップで対応いたします。まずはお気軽に無料でご相談ください。

 

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※本記事は2026年6月時点の税制(2018年4月1日以後の相続に適用される要件)にもとづいています。税制は改正される場合があり、個別の適用可否はご家庭の状況により異なります。最新の取り扱いや具体的な判断については税理士にご確認ください。

 

 

福間 武士
本記事は税理士監修のもと作成しています。
監修・執筆:税理士 福間 武士
福間税理士事務所ふくおか相続税相談室 ほっと!代表。
1977年10月5日生 福岡市出身
・保有資格:税理士行政書士