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福岡近郊の農地・市街化調整区域を相続したら|糸島・宗像・那珂川の評価

2026/7/16

 

糸島や宗像、那珂川、古賀といった福岡近郊で、親から田・畑、山林、または市街化調整区域内の土地を相続した。
そんなとき、まず気になるのが「この土地に相続税はいくらかかるのか」「どんな手続きが必要なのか」ではないでしょうか。

 

農地や山林は、自宅などの宅地とは評価のしくみが大きく異なります。同じ「田」でも、場所や区分が変われば評価額が何倍も変わることがあります。この記事では、農地・山林・市街化調整区域の評価区分と倍率方式の見方、相続したときの届出までを、福岡近郊の実情にふれながら整理します。

 

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農地・山林・市街化調整区域の評価区分

農地や山林の相続税評価で最初にやることは、その土地がどの区分にあたるかを確かめることです。区分を取り違えると評価方法ごと変わってしまうため、ここが出発点になります。

 

農地は4種類に区分される

国税庁の財産評価基本通達では、農地を次の4種類に分けて評価します(出典:国税庁「No.4623 農地の評価」)。

 

  • 純農地……宅地の価額の影響をほとんど受けない農地。倍率方式で評価します。
  • 中間農地……都市近郊にあり、純農地より売買水準が高い農地。倍率方式で評価します。
  • 市街地周辺農地……宅地化の傾向が強い農地。市街地農地として評価した価額の80%で評価します。
  • 市街地農地……市街地にある農地。原則として宅地比準方式、または倍率方式で評価します。

 

大まかには、宅地に転用しやすい場所にあるほど評価が高くなり、転用が難しい場所にあるほど評価は低くなる傾向があります。糸島や宗像の中山間部のように宅地化が進みにくい場所は純農地に、JR・西鉄の駅周辺で住宅地が迫っている農地は市街地周辺農地や市街地農地に区分されやすい、というイメージです。

 

山林も3種類に区分される

山林も農地と同じ考え方で、純山林・中間山林・市街地山林の3つに区分します。純山林・中間山林は倍率方式、市街地山林は宅地比準方式(宅地であるとした場合の価額から造成費を差し引く方法)で評価するのが原則です。福岡近郊では、相続財産に農地と山林が混在しているケースも珍しくありません。

 

市街化調整区域とは

「市街化調整区域」は、都市計画法で市街化を抑える区域とされ、原則として新たに建物を建てることが制限されています。福岡市の周辺部や糸島市・宗像市・那珂川市・古賀市などには、この市街化調整区域が広がっています。

 

市街化調整区域の農地は、宅地への転用がしにくいため、評価上は純農地や中間農地に区分されやすい傾向があります。一方で、「建てられない・売りにくい」土地でありながら一定の評価額がつくため、現金が少ないと納税の負担が重く感じられることがあります。区分の判定や転用の可否は専門的な確認が必要です。

 

 

倍率方式の見方

純農地・中間農地、純山林・中間山林は倍率方式で評価します。倍率方式とは、その土地の固定資産税評価額に、国税局長が定めた倍率を掛ける方法です(出典:国税庁「No.4623 農地の評価」)。

 

固定資産税評価額は、毎年市区町村から届く固定資産税の課税明細書などで確認できます。倍率は、国税庁ホームページ「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、その土地の所在地のページを開いて調べます。福岡県内の農地であれば、福岡国税局が管轄するエリアの倍率表を参照します。

 

倍率表では、田・畑ごとに区分が記号で示されています。一般的に、「純」は純農地、「中」は中間農地、「比準」は市街地農地、「周比準」は市街地周辺農地を表します。同じ地域でも田と畑で倍率が異なり、純農地と中間農地でも別の倍率が設定されている点に注意してください。

 

【モデルケース・概算】
たとえば、ある畑の固定資産税評価額が70万円で、該当年分の倍率表に記載された倍率が25倍だった場合、評価額の目安は70万円×25=1,750万円となります。

あくまで考え方を示すための概算で、実際の倍率や区分は土地ごとに異なります。市街地農地・市街地周辺農地の場合は、宅地比準方式により近隣の宅地の価額や造成費を加味するため、さらに複雑になります。

 

なお、土地の路線価や評価倍率は毎年7月ごろに公表されます。相続が発生した年分の路線価・倍率を使う必要があるため、参照年に注意してください。路線価そのものの調べ方は、別記事でくわしく解説しています。

 

 

相続時の届出・手続き

農地を相続したときは、相続税の申告とは別に、農業委員会への届出が必要になる点が、宅地の相続と大きく違うところです。

 

農地法第3条の3の届出

相続などにより農地(採草放牧地を含む)の権利を取得した人は、その農地のある市町村の農業委員会に届出をする必要があります(農地法第3条の3)。期限は、権利を取得したことを知った日から、おおむね10か月以内とされています。届出をしなかったり、虚偽の届出をしたりした場合には、10万円以下の過料に処せられることがあります。

 

この届出は、農業委員会が農地の権利移動を把握するためのものです。所有権移転の登記(相続登記)とは別の手続きであり、届出をしても登記の代わりにはなりません。相続登記は法務局、農地の届出は農業委員会と、提出先が分かれている点に気をつけてください。

 

区分の確認は窓口にも相談を

農地の区分(純農地〜市街地農地)は、市町村の都市計画課で市街化区域・市街化調整区域や農用地区域かどうかを確認したり、農業委員会で第2種・第3種といった農地区分を確認したりして判断します。判定を誤ると評価額がずれ、相続税の計算も狂ってしまうため、迷う場合は税務署や相続税にくわしい税理士に相談すると安心です。

 

 

福岡近郊で起きやすい問題

糸島・宗像・那珂川・古賀など福岡近郊の農地相続では、次のような悩みが起きやすいといえます。

 

  • 区分の判定が難しい……市街化が進む地域と農村部が入りまじり、同じ市内でも純農地から市街地農地まで区分が分かれます。福岡市のベッドタウン化が進むエリアでは、判定に専門的な確認が必要です。
  • 現金が少なく納税が重い……農地・山林が中心で預貯金が少ないと、評価額に応じた相続税の納税資金をどう用意するかが課題になります。
  • 転用・売却がしにくい……市街化調整区域の農地は宅地への転用や売却に制限があり、「評価はつくのに動かしにくい」状況になりがちです。
  • 相続人が農業を続けない……後継者が農業をしない場合、農地をどう管理・処分するかを早めに考えておく必要があります。

 

こうした事情は土地ごとに違うため、「うちの場合はどうなるのか」を具体的に確認することが、納税や分割の方針を決める第一歩になります。

 

 

納税猶予の選択肢

相続した農地で農業を続けていく場合には、農地にかかる相続税の納税を猶予できる「農地等の納税猶予」という制度があります。要件を満たして適用を受け、その後も農業を継続すれば、最終的に猶予税額が免除される場合があります。

 

ただし、農業をやめたり農地を譲渡したりすると猶予が打ち切られ、猶予されていた税額に利子税を加えて納めることになるなど、注意点が多い制度です。「使えるかどうか」「使うべきかどうか」は状況によって判断が分かれます。納税猶予の要件と「うっかり打切り」を避けるポイントは、別記事でくわしく解説していますので、農業を続ける予定の方はあわせてご覧ください。

 

 

まとめ

  • 農地は純農地・中間農地・市街地周辺農地・市街地農地の4区分、山林は純山林・中間山林・市街地山林の3区分で評価し、区分しだいで評価方法・評価額が大きく変わります
  • 純農地・中間農地などは倍率方式(固定資産税評価額×倍率)。倍率表の「純・中・比準・周比準」の記号で区分を読み取ります。
  • 農地を相続したら、相続登記とは別に、農業委員会への届出(農地法第3条の3)をおおむね10か月以内に行う必要があります。
  • 福岡近郊では区分判定や納税資金、転用・売却のしにくさが課題になりがちです。判定や手続きは専門家への確認をおすすめします。

 

福岡の相続税の全体像は福岡の相続税ガイドでまとめています。路線価の調べ方は福岡市の路線価で相続税評価額を調べる方法を、農業を続ける場合の税負担の抑え方は福岡の農地を相続したときの納税猶予をご覧ください。相続税申告と不動産登記の順序については相続税の申告と、不動産登記の順序についてもあわせてご参照ください。

 

農地・山林・市街化調整区域の評価は、区分の判定ひとつで結果が変わる専門性の高い分野です。「うちの土地はどの区分で、いくらになるのか」を知りたい方は、まずは無料でご相談いただけます。

 

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※本記事は2026年6月時点の情報をもとに、一般的な内容を分かりやすくまとめたものです。制度の数値・要件・期限は改正により変わる場合があり、記載の税額・評価額はモデルケース(概算)です。実際のお取り扱いは、最新の一次情報のご確認と、税理士への個別相談をおすすめします。

 

 

福間 武士
本記事は税理士監修のもと作成しています。
監修・執筆:税理士 福間 武士
福間税理士事務所ふくおか相続税相談室 ほっと!代表。
1977年10月5日生 福岡市出身
・保有資格:税理士行政書士