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相続した福岡の空き家を売るなら|3,000万円特別控除(空き家特例)

2026/7/13

 

福岡で親の家を相続したものの、誰も住む予定がなく「空き家のまま持ち続けるしかないのか」と悩んでいませんか。実家を売って手放そうとしても、売った利益に税金(譲渡所得税)がかかると、手元に残るお金が思ったより少なくなってしまうことがあります。

 

そんなときに大きな助けになるのが、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」、通称「空き家特例(3,000万円特別控除)です。この記事では、福岡で相続した空き家を売る方に向けて、特例の概要・適用要件・2024年の改正点・福岡での使いどころ、そして似た制度である「取得費加算の特例」との違いまでを、税理士がわかりやすく解説します。

 

結論からお伝えすると、要件を満たせば売却益から最大3,000万円を差し引けるため、譲渡所得税がゼロになるケースも少なくありません。ただし要件は細かく、期限もあります。順番に見ていきましょう。

 

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空き家特例(3,000万円特別控除)の概要

空き家特例とは、相続や遺贈で取得した「亡くなった方の自宅(空き家)」とその土地を売却したときに、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。空き家の増加という社会問題を背景に、相続した空き家を早めに売却(または取り壊し)してもらうことを後押しする目的で設けられています。

 

ここで2つ押さえておきたい点があります。1つは、この特例が譲渡所得税(所得税・住民税)の制度であり、相続税とは別の税金に対する特例だということ。相続税の「小規模宅地等の特例」などとは仕組みが異なります。もう1つは、控除されるのは「売却益(譲渡所得)」からであり、売却価格そのものから引けるわけではない点です。

譲渡所得は、おおまかに次の式で計算します。

 

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除(最大3,000万円)

適用できる期間も決まっています。令和5年度の税制改正で適用期限が4年延長され、現在は平成28年(2016年)4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの売却が対象です(2026年6月時点。国税庁「No.3306」より)。期限が近づいているため、売却を検討している方は早めの準備をおすすめします。

 

 

空き家特例の適用要件

この特例は、どんな空き家にでも使えるわけではありません。要件を「人」「家屋」「売り方」「期限」の4つに分けて整理します。少し細かいですが、ひとつでも欠けると適用できないため、ご自身のケースと照らし合わせてみてください。

 

1.売る人の要件

  • 相続または遺贈によって、亡くなった方(被相続人)の居住用家屋とその敷地を取得した相続人であること。
  • 親子・夫婦など「特別な関係にある人」へ売却したものではないこと。

 

2.家屋(建物)の要件

  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること。旧耐震基準の古い建物が対象です。
  • 区分所有建物でないことつまり分譲マンションは対象外で、一戸建てが想定されています。
  • 相続開始の直前に、被相続人がその家に一人で住んでいたこと(同居者がいなかったこと)。なお、被相続人が老人ホーム等に入所していた場合でも、要介護認定を受けていたなど一定の要件を満たせば対象になることがあります。

 

3.売り方(譲渡)の要件

建物が古い旧耐震のままでは原則として特例を使えません。次のいずれかの形で売る必要があります。

  • 耐震リフォームをして、耐震基準を満たした家屋+敷地を売る。
  • 家屋を取り壊して、更地(敷地のみ)にして売る。

 

さらに、相続したときから売却するまで、その家や土地を事業・賃貸・他人の居住に使っていないことも条件です。一時的にでも貸したり、駐車場として活用したりすると、要件から外れてしまう点に注意してください。売却代金は1億円以下である必要もあります。

 

4.期限の要件(3年ルール)

期限には2つの「ものさし」があり、両方を満たす必要があります。

 

  • 相続開始(亡くなった日)から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。たとえば2024年に相続が発生した場合は、2027年12月31日までが目安です。
  • かつ、特例全体の適用期限である令和9年(2027年)12月31日までであること。

 

相続登記や買い手探しに時間がかかり、気づいたら期限を過ぎていた、というのが最も多い「適用漏れ」の原因です。なお、空き家を売る前提として相続登記(名義変更)を済ませておく必要があります。相続登記と申告の順序については、相続税の申告と、不動産登記の順序についてもあわせてご覧ください。

 

手続きに必要な書類

この特例を使うには確定申告が必要で、その際に市区町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書を添付します。確認書の申請には電気・ガス・水道の使用状況がわかる書類や写真などが必要で、発行までに2週間程度かかることもあります。売却が決まったら早めに準備を始めましょう。

 

 

2024年(令和6年)改正のポイント

空き家特例は令和5年度の税制改正で見直され、令和6年(2024年)1月1日以後の売却から次の点が変わりました。使い勝手が良くなった面と、控除額が下がる面の両方があります。

 

変更点1:その被相続人居住用家屋を取得した 相続人が3人以上だと控除額が2,000万円に

これまでは相続人が何人いても1人あたり3,000万円を控除できました。改正後は、その空き家を相続・取得した相続人が3人以上の場合、1人あたりの控除額が2,000万円に引き下げられました。兄弟姉妹3人で実家を共有して売る、といったケースでは控除額が変わるため、誰がどう取得するかの検討が大切になります。

 

変更点2:買主が改修・取壊しをしてもOKに

改正前は、売主が事前に耐震リフォームか取壊しを終えてから売る必要がありました。改正後は、売買契約に基づいて、買主が「売った年の翌年2月15日まで」に耐震改修または取壊しを行った場合でも適用対象になりました。売主が工事費を先に負担しなくてよくなり、空き家を売りやすくなっています。

ただし、買主の工事が間に合わないと特例が使えなくなるリスクがあります。国土交通省も、こうしたトラブルを防ぐための特約の文例を示しています。買主に工事を任せる場合は、契約内容をよく確認しておきましょう。

 

 

福岡の空き家での使いどころ

福岡県でも空き家は着実に増えています。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年時点の福岡県の空き家数は約335,300戸、空き家率は12.40%で、前回(2018年)から6,700戸増えました(総務省・2023年調査)。県全体の率は全国(13.8%)より低めですが、福岡都市圏から離れた地域ほど空き家が増える傾向があります。

 

この特例の対象は「昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建て」です。福岡市近郊や郊外には、その年代に建てられた木造の実家が数多く残っています。糸島市・宗像市・那珂川市など、福岡都市圏のまわりで実家を相続したケースは、まさにこの空き家特例を検討する典型例といえます。

 

ここで、福岡郊外の実家を売る場合のモデルケース(概算)を見てみましょう。実際の税額は物件や状況で変わるため、あくまで目安です

 

  • 昭和55年築の木造一戸建て(被相続人が一人で居住)を相続
  • 建物を取り壊して更地にし、2,500万円で売却
  • 取得費は不明のため概算取得費(売却価格の5%=125万円)を使用
  • 譲渡費用(解体費・仲介手数料など)を200万円と仮定

 

この場合の譲渡所得は、2,500万円 −(125万円 + 200万円)= 2,175万円です。空き家特例(3,000万円控除)を使えると、課税対象の譲渡所得は0円となり、譲渡所得税・住民税はかからない計算になります。控除がなければこの2,175万円に税率がかかるため、差は大きくなります。

 

なお福岡県には、空き家の利活用や売却を相談できる公的窓口「福岡県空き家活用サポートセンター(イエカツ)」(2020年設置)もあります。市街化調整区域や農地が絡む土地では評価や売却の考え方が変わるため、福岡近郊の農地・市街化調整区域を相続したら|糸島・宗像・那珂川の評価もあわせてご確認ください。

 

 

取得費加算の特例との比較

相続した不動産を売るときに使える特例には、空き家特例のほかに取得費加算の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)があります。どちらも譲渡所得税を軽くする制度ですが、内容と使える場面が異なります。

取得費加算の特例は、支払った相続税の一部を売却資産の「取得費」に上乗せできる制度です。取得費が増えれば、その分だけ譲渡所得(売却益)が小さくなり、税金が軽くなります。こちらは相続税の申告期限の翌日から3年以内(相続開始からおおむね3年10か月以内)の売却が条件です。

 

重要なのは、同じ不動産について、空き家特例と取得費加算の特例を両方同時に使うことはできない点です。どちらか一方を選ぶことになります。一般的には控除額の大きい空き家特例のほうが有利になりやすいものの、空き家特例の要件(昭和56年以前の建物・取壊しや耐震改修など)を満たせない場合や、相続税を多く納めている場合は、取得費加算のほうが有利になることもあります

 

項目 空き家特例(3,000万円控除) 取得費加算の特例
主な効果 譲渡所得から最大3,000万円を控除 支払った相続税の一部を取得費に加算
主な対象 昭和56年5月以前の被相続人の自宅(空き家) 相続した財産全般(不動産・株式など)
主な期限 相続開始から3年経過する年の年末まで(かつ令和9年末まで) 相続税の申告期限の翌日から3年以内
併用 同じ不動産では併用不可(どちらかを選択)

 

どちらの特例が有利かは、相続税の納税額・建物の築年数・売却金額などによって変わります。取得費加算の特例の詳しい仕組みは、福岡の相続不動産を売却したとき|取得費加算の特例で譲渡税を軽減で解説しています。

 

 

まとめ

福岡で相続した空き家を売るときの「3,000万円特別控除(空き家特例)」について、要点を振り返ります。

 

  • 相続した被相続人の自宅(空き家)を売ったとき、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる、譲渡所得税の特例です(相続税とは別の制度)。
  • 主な要件は昭和56年5月以前の一戸建て・区分所有でない・耐震改修または取壊し・空き家のまま・1億円以下。期限は相続から3年経過する年の年末、かつ令和9年(2027年)末までです。
  • 2024年からは空き家を相続した相続人3人以上で控除額2,000万円に、買主の改修・取壊しでも適用可へと改正されました。
  • 福岡では昭和56年以前に建てられた郊外の実家が対象になりやすく、取得費加算の特例とは併用できないため、有利なほうを選ぶ判断が必要です。

 

空き家特例は節税効果が大きい一方で、要件が複雑で改正も多く、適用の可否は個別の事情で変わります。判断を誤ると特例が使えなくなることもあるため、売却を考え始めた段階で税理士に確認することをおすすめします。福岡の相続税の全体像は、福岡の相続税ガイド|申告・節税・税理士費用まで税理士が解説でもまとめています。

 

「うちの実家は空き家特例を使えるの?」「取得費加算とどちらが得?」といったご相談は、当事務所で承っています。まずは無料でご相談いただけます。

 

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※本記事は2026年6月時点の情報をもとに、一般的な内容を分かりやすくまとめたものです。制度の数値・要件・期限は改正により変わる場合があり、記載の税額・評価額はモデルケース(概算)です。実際のお取り扱いは、最新の一次情報のご確認と、税理士への個別相談をおすすめします。

 

 

福間 武士
本記事は税理士監修のもと作成しています。
監修・執筆:税理士 福間 武士
福間税理士事務所ふくおか相続税相談室 ほっと!代表。
1977年10月5日生 福岡市出身
・保有資格:税理士行政書士